「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い

 こうすれば勝てた。『ヴェニスの商人』の金貸しシャイロック。 


「ねえねえ、ご隠居。すごい儲け話、聞きましたよ。いくら借金しても破産しね
えんです」
「お、熊さん。現代貨幣理論、MMTをナマ聞きかじったな」
「おれっちも、この際、どんどん借金しまくって、豪勢な暮らしでもしてみんと
キャンディと思って」
「うむ、MMTとは《国が国債をどれだけ発行しても破産しない》という理論だ。
自国通貨を発行できる国の場合はいいとしても、個人には通用しないぞ。紙幣は
勝手に刷ったら捕まる。金を借りたければ担保が必要だが、お前さんには財産が
ない」
「そうです。湯たんぽもきりたんぽもねえですが、おれっちは、この自慢の体を
担保にして」
「熊さん、体は駄目だ、担保にならない。シェイクスピアの戯曲に、こんな話が
ある。アントニーオというイタリア人が友人の借金の保証人になり、シャイロッ
クという金貸しは、《期日までに返せなければ彼の肉1ポンドをいただく》とい
う証文を書かせた。1ポンドは約450グラムだ」

  venis3.jpg

「ええと、確か、頭のいい裁判官が『肉は取ってもいいが、血は一滴も取っては
ならない』と判決を出したので、『ヴェニスの証人』が負けてしまった話だった
ですかね」
「いや、お前さんのアクセントは若干語尾上がりだから『しょうにん』が裁判の
『証』と聞こえる。正確には語尾下がりに発音するのだよ。そうすれば商売の
人』と聞こえる。『ヴェニスの商人』とは金を借りたアントニーオのほうだ。
『商人』の元の英語はマーチャント(merchant)で、マーチャントとは普通の
《商人》より取引量の多い《貿易商》なんだな」
「そうでしたか。でもまあ、450グラムならたいしたことねえ。ジュウジュウ言
う焼肉を1キロも食えば、すぐ補充できます」
「いや、心臓すれすれの肉を切り取られたら命にかかわるぞ」
「そうか。でも、それにしてもですね、ご隠居。肉を切れば血が少しは出るのは
当たり前。量るときに多少の誤差が出るのも当たり前。肉を1ポンドを取っても
いいが、血を一滴も取ってはいけないという判決は、常識を外れてる、屁理屈だ、
難くせだ、とシャイロックはなぜ反論しなかったんですかね」

  6venis.jpg

「お、熊さん、いいことを言う。その通りだ。あの判決は詭弁だ。だがな、あの
裁判官役をしたポーシャはなかなか頭がいい。判決の前にちゃんと伏線を張って
ある」
「伏線?」
「そう。ポーシャは、シャイロックが証文を盾にして反論したくなるように話を
持っていっている。

ポーシャ:「シャイロック、承知しているな、この3倍の金を返すと言っているのだぞ」
シャイロック:「あくまでも証文通りにお願いいたします

ポーシャ:「外科医を呼んでおけ。お前の費用でな。傷口の手当てをしないと出血のために死ぬかもしれぬ」
シャイロック:「そのことは証文に書いてございますかな?」(紙片を取り、調べる)

ポ ーシャ:「そうは書いてない。そのくらいの情は当たり前のことと思う」シャイロック:「ございませんな。証文に書いてない
                  (福田恆在訳『ヴェニスの商人』新潮文庫)

 シャイロックは、証文を盾にとって《書いてない、書いてない》と言っている。
つまりポーシャは《証文は字句通りに解釈するのが正義だ》と念押しをしている
のだよ」
「ほお~」
「そうしておいてから判決を述べた。『この証文には「肉1ポンド」と明記され
ている。したがって証文通り、正確にきっかり1ポンドを切り取れ。きっかりだ。
そして証文に書いてない「血」を一滴でも流せば、ヴェニスの法によりキリスト
教徒の命を狙った罪で財産没収、その身は死刑だ』と言って、ユダヤ教からキリ
スト教への改宗も命じた」
「ご隠居。ポーシャは賢いですね。家康の『国家安康』の話みてえで、難くせが
うまいわ」
「現代なら人肉を担保にするのは公序良俗の違反だから、そんな証文は法的に無
効なのだが、当時《契約は厳守すべきである》ことは絶対の正義として社会的に
認知されていたのだな」

  venis4.jpg

「うーん、でも、シャイロックはかわいそうだ。貸した金は返してもらえねえで、
財産は没収され、人殺し扱いされ、そのうえ自分の信仰まで変えさせられて」
「熊さんは、シャイロックに同情的だな」
「あの裁判官は、自分の論理は詭弁だと分かっていながら、道理としてはおかし
い判決を強引に出したんですよね。知略というか、謀略というか、あんな判決を
出されたら勝てる人間はいねえ」
「いや、じつは裁判に勝つ方法はあった。シャイロックが《肉1ポンドを頂戴す
と言った箇所の証文は原語では “forfeit(没収する、失う)” だが、《没収
する
》ではなく、《肉1ポンドで弁済する》と書いておけば良かった」
「そうすればアントニーオが自分で自分の肉を切らないといけなかった」
「そうだ。ただ、シャイロックは極悪非道の悪魔にされ、嫌ユダヤ人思想がもっ
と強まったかもしれんがな」
「うーん、法律文はたった言葉一つの違いで意味が違ってくるんだ。アントニー
オは《貿易商》としては未熟ですね」
「熊さんや、どうだ。『ヴェニスの証』じゃなかった、『ヴェニスの人」の
巧みな判決について、ちゃんと理解したかな」

「へえ。まあ、ちゃんと





《補足》
 根深い憎悪で、執拗に無理難題を吹っかけてくる相手には、どうすべきか。
 優しく譲歩や謝罪をして解決金を払うなら、相手はますます増長するだけ
 大人の対応より、まあ、ちゃんと論争をして決着をつけてほしいものです。
__________________________________

※シャイロックが肉を切り取ることを証文に書かせる場面の邦訳です。
●福田恆在訳(新潮文庫):「もし証文記載のこれこれの金額をですな、これこれの日、これこれの場所において返済できぬときには、そのかたとして、きっちり1ポンド、その、あんたの体の肉を頂戴したい。どこでもおれの好きなところを切りとっていいということにしていただきたいもので」
●松岡和子訳(ちくま文庫):「証文に記載されたこれこれの日に、これこれの場所で、これこれの金額を返済できないとなった場合、違約金がわりに、あんたのその真っ白な体から、きっかり一ポンド、私の好きな部分を切り取ると明記していただきたいんだが」

●あるいは《没収する》とするなら、《第三者の公人が没収する》としておけば良かった。


大岡越前守なら、証文がどうであれ、こんな判決が出そうです。
「肉百二十匁(もんめ)を切り取るがよい。だが、よいか、命に危害を加えるのはまかりならぬ」

画像はYouTubeから借用しました。https://www.youtube.com/watch?v=C8qs_Nv4fgw

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どこでも『一休さん』

ポーシャ扮する裁判官は、
一休さんの頓智『屏風のトラ』に酷似していますよね。
「頓」→すぐに、にわか」の意。
「知」→知識。
ということで臨機応変の知恵は世界共通なんでしょうか。

!(・。・)……『没収』か『弁済』かで、
判決が 真反対に変わるとは、眼からウロコです。
しかも『ヴェニスの商人』から、意味深な《補足》に至るとは……。
バーソ論説委員には脱帽ですぅ。

2019/12/21(土) |URL|風子 [edit]

バーソ様
おはよう御座います。

先日の私の記事「ゾンビ裁判」に似ていますね。
裁判官のトンチがきいています。
そもそもですが、何故人間の肉1ポンドが担保になったのでしょうね。何の価値もないと思うのですが。
霜降和牛1ポンドならわからないこともありませんが。

愛新覚羅

2019/12/21(土) |URL|aishinkakura [edit]

Re: どこでも『一休さん』

風子さん コメントありがとうございます^^)

> 「頓」→すぐに、にわか」の意。
 あ、そうなんですか。なるほど、そういわれれば、頓服薬とは、症状が出た時に服用する薬。知恵はすぐ出すところに妙味があるのですね。私は少し以上時間が経ってから、あのときはこう言えば良かったと悔やむほうなので、頓智は駄目のようです。とんでもないトン知、すなわち駄洒落はすぐ出るのですが。(笑)

 頭のいい人の論争は面白いので、裁判映画の検事と弁護士のやり取りや、名探偵の推理を聞くのは好きなんですが、頭のいい人は回転が速いのと、相手の言葉尻を捉えるのがうまいですね。ちょっとした相手の論理的な弱点を見付けたら、それにこだわって相手を追い詰めてしまう。その鋭い頭脳はたいしたものです。回転の速さでは風子さんは論争が得意なんじゃないですか。

 この戯曲では、貿易商アントニートがユダヤ人の金貸しシャイロックを嫌悪しているシーンが最初にあります。ですからアントニーオの肉を切り取るのはシャイロック自身がやりたかったことに、シェイクスピアはしたかったのでしょう。
 そうすることでシャイロックを極悪人にして、ポーシャを善人にして、最後は正義が勝つ。ユダヤ教ではなく、キリスト教が勝つ。そうすれば世間にウケると思ったのではないでしょうか。

 この『ヴェニスの商人』によってユダヤ人に対する偏見が拡大したという分析がありますが、作者自身にも当時の人たちの中にも、ユダヤ人の金貸しに対する偏見があったのかもしれません。離散ユダヤ人が外国の地で生き抜いていくためには金融業がやりやすかったからです。

 とすれば人種偏見というものは、正当な根拠なく、つい人を差別してしまいがちになるので気を付けないといけません。不当に差別されるような言動や宣伝には初期の内から断固対処しておかないと、後になるとすっかり悪いイメージが定着してしまいます。

2019/12/21(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

Re: タイトルなし

aishinkakuraさま コメントありがとうございます^^)

「ゾンビ裁判」も頓智や難くせと同じで、常識とは違う思考をあたかも正当であるかのように強く主張するものですね。お互いに自分の主張を言い合って譲らない場合は平行線をたどりますが、結局は智謀があって、負けん気の強さや経済六や武力・腕力の強いほうが勝ちになりそうです。私のように気が弱くておとなしくて辛抱強い人間は論争や喧嘩には勝てません。

 政治家はとかく人格が温厚で誠実な人が良いとされますが、総理大臣は、ただ、ひとがいいだけでは駄目ですね。今でも中国やロシアなどは、首脳同士が会談するときは、相手の国の旅行客や漁船員を人質にとったりして交渉を有利に進めることがあります。紳士の国と言われるイギリスでも、油断してはいけないことが歴史上少なからずありました。ですから特に外務大臣、経産大臣、防衛大臣には人格を云々するよりも、頭が超優秀な人になってほしいものです。

 特に一国の首脳には多少スキャンダルや失言があっても、明確な政治のポリシーがしっかりとあり、自信もあり、実行力もあり、観察力とバランス感覚の優れたひとになってほしいと思います。なんやかんや言ってもトランプ大統領は実行力があり、アメリカの経済には非常に有益な政治家なのではないでしょうか。
 それに引き換え、日本の過去の首相には、市町村や農協のトップにはいいとしても、一国のトップにはまるで不適格な人が何人もいました。これは企業でも何かの組織や団体でも同じだと思いますね。有能なトップがいない大企業はみな衰退しています。

2019/12/21(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

こんばんは

あらためて、wikiでベニスの商人を読んでみました。
けっこう波乱にとんだお話ですね。

裁判官「肉を切り取っていいぞ。でも血を流したらダメだ。契約書にない」
シャイロック「血は流しません。凍らせてから切り取ります」
裁判官「どうするな。アントーニオ」
アントーニオ「金払います。何としてでも払います」
裁判官「これにて結審。シャイロック、見事な裁判の進め方だった。君のフルネームは?」
シャイロック「シャイロック・ホームズです」

こんな裁判劇も、
強盗の罪で起訴されている被告をなんとか救おうとして弁護士は論じた。
「被告は単に窓から手を入れて2、3の物を取ったにすぎないのです。彼の腕は
彼自身じゃないのに彼全体を罰することはできないでしょう」
判事は笑いながら答えた。
「キミと同じ論理をつかって判決としよう。被告の腕に懲役1年を処す。被告は腕に
付き添ってもいいし付き添わなくてもよろしい」
被告は喜んで義肢をはずしてベンチに置き、出て行った。

2019/12/21(土) |URL|エリアンダー [edit]

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2019/12/21(土) || [edit]

Re: こんばんは

エリアンダーさん コメントありがとうございます^^)

 あはは、シャイロック・ホームズの方法は、凍らせてから切ればいい。なるほど、さすが名探偵。彼の別の名はエリアンダー・ホームズとも言うのでしょう。(笑)

裁判官「ところで肉は凍っていれば氷と同じだ。凍った肉は解凍して初めて肉になる。解凍時に血が少しでも出てきたら、シャイロックよ、おまえの命は没収される」
シャイロック「あれれ~、私の全財産を差し上げますから、どうぞご容赦を、ご慈悲を。それにしても名解答、名裁判。恐れ入りました。これからは宗旨替えをしてあなた様を崇拝いたします。ぜひ、ご尊名のお教えを」
裁判官「おう、悪には悪。蛇の道は蛇よ。わたしの別の名は、フランスでは解凍ルパンと呼ばれている」

 というわけで、切った肉は電子レンジで解凍すれば、新鮮なので刺身に出来るそうです。これはマル秘情報なので、ひとに教えないでくださいよ。
 ――――くそっ、そんなもん誰が教えるか。(笑)

 じつはネットでシャイロックの台詞を探していたら、こんな文章がありました。確か、modern languageとか書いてあったサイトでしたが。

 if he did not repay the money by a certain day,
 he would forfeit a pound of flesh,
 to be cut off from any part of his body
 that Shylock pleased.

 “he would forfeit a pound of flesh”の “he”はアントニーオなので、アントニーオが1ポンドの肉を“forfeit”するということになる。では“forfeit”の意味を辞書で引いたら「没収する、失う」となっている。そうなら「彼アントニーオが肉を没収する」となるのはおかしいので、あちこち検索したら、あるサイトでこう説明されているのを見付けました。


forfeit【他】 (罰として)〈財産・権利などを〉失う,没収される.
※forfeitは、受け身に形をとらずとも、受け身の意味を持っている単語なので、要注意。

 他動詞の受身形で訳すなら「彼アントニーオは肉を没収される」となる。これは面白いと思って、今回この記事を書いたわけですが、念のために図書館に英文のオリジナルを予約しておいたら、昨日金曜の午後に届いたので、さっそく原文を見たら、このようになっていました。

 If you repay me not on such a day,
 In such a place, such sum or sumus as are
 Express'd in the condition, let the forfeit
 Be nominated for an equal pound
 Of your fair flesh, to be cut off and taken
 In what part of your body pleaseth me. 

 この構文が難しく、私の英語力では自信がなかったので、当該単語の説明部分はバッサリ削除して、書き直したのです。そのせいで記事のキモがなくなってしまった感じです。

2019/12/21(土) |URL|☆バーソ☆ [edit]

とうとう

ご隠居と熊さんからMMTネタが語られるときが♪

たった言葉一つの違いで意味が違ってくる法律文を解釈する機関というものが、
内閣法制局という機関ということなのですが、
国会が承認した法律であっても、内閣法制局が「憲法違反の疑義がある」と述べれば執行できないという、財務省と同等の力を持った権力機関なんだそうです。
「貨幣の蛇口」と「ルール」のふたつを抑えさえすれば、人間社会を支配することは容易なことなのかもしれませんね。

いずれにしてもまあ、ちゃんと公益的にやってほしいものですね^^

2019/12/22(日) |URL|友資 [edit]

Re: とうとう

友資さん コメントありがとうございます^^)

 MMT理論を知って目からウロコだったのは、銀行から1千万円借金をすると企業の貸借対照表は、負債が1億で、資産が1億になる。借金をしないと何もできないが、借金をすると初めて商売をして利潤をあげられるという例えでした。
 国債金額が増減している折れ線グラフを見ながら説明を聞いていると、なるほどと思えるのですが、国の経済が活発になっても国の借金がどんどんふくらんでいくのが、やはり道理として今一つピンと来ないところがあります。
 ねずみ講は、加入者が無限に増加するものであるとして拡大していって金がメンバーに分配されていきますが、いつかは飽和状態になり、最終的には末端にいる者は破綻します。それを思い出して、今の国民はいいとしても、近未来の国民は突然の大戦争や大災害や石油ショックがあったりして、ものすごい急上昇の超インフレが起きたような場合、大丈夫なのかと思うわけです。むろん、ゆるやかなインフレなら簡単に抑制できるのでしょうが。
 消費税を上げるのは良策ではないことは分かりましたが、私の知識ではMMTについてはまだよく分かりません。

> 「貨幣の蛇口」と「ルール」のふたつを抑えさえすれば、人間社会を支配することは容易なことなのかもしれませんね。

 こんなところに経済のキモがあったとは気付かなかったです。そしてさらに言うなら国民の総意というものもありそうです。
 そうした根本的なシステムを変えることができるのは結局は政治家なんでしょうが、彼らがもっぱら選挙に受かって自分の安泰だけを考えているなら、社会の変化は生じません。命を懸けて自分の信じる公益的な政策を全うしていこうという政治家の存在と、それを支持する民衆の増加と国民の意識向上が一番重要なことなんでしょう。
 そういう意味では相変らずメディアの力、特に左翼系知識人の力は大きく、一方でネットの力も強くなってきましたが、もっとよく物事を判断できる頭のいい人に、この社会をリードしていってほしいもので、私たちももっといろいろと学んで意識を変革していかないといけないようです。

2019/12/22(日) |URL|☆バーソ☆ [edit]

子どもの頃読んだのですが、冒頭、シャイロックは通行人に唾を吐きかけられ、足蹴にされていました。
どうやら理由はユダヤ人だから。
だから私は悲劇だと思って読んでいました。
喜劇だと知ったときは、びっくり(笑)

だいたい、肉を担保に指定するのは、金貸しとして三流です。
しっかりと身ぐるみ剥ぐまで取り立てなくちゃ(悪い顔)

2019/12/23(月) |URL|しのぶもじずり [edit]

Re: タイトルなし

しのぶもじずり さん コメントありがとうございます^^)

 ユダヤ人はなぜ嫌われるのか。その理由の第一は、金にがめついという悪いイメージがあります。つまりユダヤ人は西暦1世紀にローマ帝国に滅ぼされて世界中に散らされ、自分たちの国土や不動産や財産を持ってなかったゆえに、子どもの教育に力を入れました。そのため頭の優秀な人が多く、彼らは外国の地で金融業の分野で成功し、貴族や富裕層とつながり、各地で利益と実権さえ手にするようになっていったようです。ユダヤ人から金を借りている人も多く、返せない人は強く取り立てられたので、それゆえにもユダヤ人は嫌われたようです。貧乏な農民たちは、働きもせず金持ちになっているユダヤ人を妬みから恨んだのです。世界に散らされ、流浪の民となり、移民や難民の類にされたことも信用できない人種とみなされました。
 またユダヤ人がキリストを磔刑にした聖書の史実もあり、当初から人種的に嫌われていました。彼らはキリスト教から見れば特異なユダヤ教のみを熱心に信じていて、服装や習慣もかなり異なっていることもキリスト教国ではかなり嫌われた理由でしょう。ナチスドイツがユダヤ人を撲滅しようとしたのは、自国の敵人種を作ると自分の政策がまとまりやすいからということもありそうです。そしてこの戯曲『ヴェニスの商人』のせいで狡いイメージがかなり浸透したと言われています。

 そうであれば頭が良く、金を持っているのは、嫌われる原因になるようです。そうではない二流の国民がいて、自分たちより優秀な上位の民族を見れば、それらの人々を妬み、嫌い、憎み、追い落としてやろう、見返してやろうという気持ちになるのでしょうか。別にユダヤ人が全員がめついわけではないでしょうに、ただ優秀で富裕であるゆえに嫌われたのなら、二千年近く、人種的に特異な運命をになった哀れな人たちでもあるようです。がしかし科学者や政治家や経済人に著名な人が多いですね。

 肉を1ポンド頂戴したいというのは、命を頂戴して日頃の仕打ちに対して、仕返しをしたいという気持ちから出たのでしょうが、逆に不当な判決により身ぐるみはがされることになってしまったのは、かわいそうなことです。
 なのに「しっかりと身ぐるみ剥ぐまで取り立てなくちゃ(悪い顔)」ですか。おお、なんと、これは、そのほうが面白い。そうなったなら、悲劇ではなく、確かに喜劇です。(笑)

2019/12/23(月) |URL|☆バーソ☆ [edit]

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