「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い

 『賢者の贈り物』は、人間の気遣いと信仰の関係を語っている。 


 オー・ヘンリーが1905年に発表した『賢者の贈り物』という短編小説がある。

 私は子どもの頃に読んだだけだが、今回『青空文庫』で読み直して驚いたのは主人公の夫婦が若かったことだ。
 話の中に懐中時計が出てくるせいで老年夫婦の話だと思い込んでいたが、夫が22歳だと分かったとき、ああ、当時のアメリカには、その日暮らしの貧乏な若い夫婦がいて、互いに精一杯愛情を表そうとした話があったほど、清く貧しく善き純粋な時代だったのか、と思ったら、どっと涙腺がゆるんできた。

 ウイルス問題で何かと心細くなる今日この頃。この「賢者」とはだれなのか?という点をバーソの視点で解釈しました。


『賢者の贈り物』のあらすじ

 舞台はクリスマスの前日。ある若い貧しい夫婦は贈り物をする金がなかったので、二人とも自分が大事にしていた唯一の「宝物」を売ることを決断した。
 妻デラの宝物は、シバの女王(※1)さえ羨むような美しい「長い髪」だったが、それをバッサリ切って売った金で、夫の金の懐中時計に合う「プラチナの時計鎖」を買った。
 夫ジムの宝物は、祖父と父から受け継いできたその金の「懐中時計」だったが、こっそり質に入れ、妻の美しい髪によく似合いそうな宝石入りの「亀甲の髪飾り」を買っていた。
 そしてイヴの夜。
 二人が心を込めて贈り合ったクリスマスプレゼントは、互いに使えない物だった。

   

 『今昔物語』の悪口話は、口から出て、口に返る。(後編) 


 前回は、「褒める」行為には、自他ともに喜びがあることを考えましたが、
 今回は、逆に「けなす」人には、どんな感情、また動機があるかがテーマです。



今昔物語集』巻十四第廿七話 阿波国人謗写法花人得現報語

 今は昔、阿波の国名方郡殖村に一人の女がおった。名前を夜須古(やすこ)といった。
 白壁の天皇(光仁天皇)の御代のことや。
 この女が願を立てて、法華経を書写し奉ろうと思うて、麻殖郡の苑山寺において、心を尽くして人に頼んで法華経を書写させた。

 ところで、その郡に忌部連板屋(いんべのむらじ いたや)という人がおった。
 この人が、経を書写させとる女人を憎んで、女の過失をあばき立てて悪口を言いふらした。
 すると、たちまち板屋の口がひきつったように歪んで、顔がねじれ曲がった。
板屋はそれをたいそう嘆き悲しんだ。
 ほなけんど、それでもなお、後悔することのう、善行を積むこともなかった。そのため、口も顔も直らなんだ。

 このことを見聞きした人は、「これは疑いものう、心を尽くして法華経を書写し奉る人をそしり憎んだためだ」と言うた。

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           Pablo Picasso, Le Marin, 28 October 1943


       ※原典を阿波弁に変換しています。絵の使用はジョークです。

       
 歪んだ言葉を口から出せば口が歪む、という顔面破壊・因果応報の物語でした。


けなす」の類語は、「そしる、くさす、罵る、毒づく、ディスる、馬鹿にする、
チクリと言う、悪しざまに言う、バッシングする、罵倒する」などがありますが、
これを仕事にしている人がいます。
・ただただ反対と罵倒と揚げ足取りをしている桜尽し代議士。
・ことさら酷評と誹謗とあら探しをしている良識調メディア。 
・もっぱら批判と悪態と咎めだてをしている目クジラ有識者。
・とにかく悪評の宣伝とこき下ろしに熱心な反日趣族主義者。

 『今昔物語』の牛の突合せ。褒めると牛も舞い上がる。(前編) 



『今昔物語集』巻四第丗三話 天竺長者婆羅門牛突語

  今は昔、天竺に長者とバラモン(最高位の僧侶)がおった。
 二人は日ぃ定め、金千両を懸けて牛を突き合わせとったけん、この闘牛の様子を大勢の者が観にきとった。
 長者は言うた。
私の牛は極めて異様や。角も顔も首も尻もみな、力無(ちからな)の相がある
 牛はその言葉を聞いて落ち込み、「うちゃきっと負けるだろう」と思うたが、案の定、長者の牛は負けて、千両の金がバラモンに渡った。

 長者は家に帰って、牛に恨みがましゅう言うた。
お前が負けたけん千両の金を取られてしもうた。お前は頼み甲斐がない。情けない奴や
 牛は言い返した。
今日負けたのは、あんたがうちを悪う言うたせいや。うちゃたちまち魂が失せて、力が出んようになったんや。もし金を取り返したければ、うちを褒めて、もう一度闘わせてかぁ

 長者は牛の言葉を聞いてから、「次は三千両を掛けて闘わせましょう」と再度の牛突きを申し出たら、バラモンは前回勝ったものやけん、こころよう承知した。
 そこで長者は牛の言う通り、限りのう牛を褒め、それから再び牛突きをしたら、バラモンの牛が負け、バラモンは三千両を長者に渡した。

 そういうわけで、万事に言えることけんど、褒めれば花が咲き開いて、功徳を得ることになる、と語り伝えられとる。

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   pixabay                   
                          ※原典を阿波弁に変換しています。


 長者の牛はお調子者だったようです。自分が頼んだ誉め言葉にウッシシと喜ん
で元気を出しました。人間だって同じです。褒められるとエンジンが掛かります。

        ____________________


 世の中には、褒めるのが好きな人と、けなすのが好きな人と、二種類いる。
 自分がそれをされる側になると、みな一種類の人間になる。


 今回は、前者の「褒める」話を前編として扱います。

 天皇家の祖先にはワニがいる。 


 天皇家の祖先には、あっと驚く、意外な血が混じっています。

 日本神話に出てくる『山幸彦と海幸彦』の弟の山幸彦は、天皇家の血筋では非常に稀有かつ重要な存在で、見ようによっては大問題になりかねない結婚をしています。※1

 下の系図はスルーしても話は分かりますが、見る場合は中段左側に、赤色数字のを探してみてください。(①~⑦までの数字は、上から順に振っています)

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 ③山幸彦③(火遠理命)を三代さかのぼった曽祖父は、天照大御神①です。
 山幸彦③の二代下、つまり孫は、神武天皇⑦です。
 そして山幸彦の妻④の父親は、海神②(豊玉彦命)です。
 
 注目したいのは、山幸彦の妻の真の姿です。
 山幸彦が、民話の『鶴の恩返し』のように、見てはいけないと言われていた妻の出産の姿を見たら、なんと “奥様はワニだった” のです。※2


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