「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い

 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』と「本当の幸い」。(後編) 


「人生は短く、時は過ぎ去る。熊さんよ、先週、なにを話し合ったか覚えている
かい?」
「ご隠居。そんな昔のことは……覚えてますって。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜
の話でした」
「そうだ。で、どんな話だったか覚えているか」
「へえ、死者の世界に行く銀河鉄道の汽車に、ジョバンニと親友のカムパネルラ
が乗っていて、このカムパネルラは亡霊だった。というのも、いじめっ子のザネ
リが川に落ちたとき、すぐ川に飛び込んで助けたのはいいが、自分は溺(おぼ)れて
死んでしまったからで、そんな愛と悲しみの日々の話でした、マル」

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  『銀河鉄道の夜』 (日本の名作文庫) 宮沢賢治 (著) ポプラ社

 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とピアノで聴く『ラ・カンパネラ』。(前編) 


「ご隠居、冬の夜空って、やけに美しくて深遠ですねえ。天の川を眺めていると、
物思いに沈んじゃうなあ」
「熊さん、珍しく冴(さ)えているじゃないか。えらく神妙なことを言って。頭が豚
コレラにでもかかったか」
「はあ、あの天の川には、橋が架かってるんだろうか、渡し船があるんだろうか、
船賃は高いんだろうかと考えてると、ひと晩じゅう頭が冴えちまって」
「なあ、熊さんよ。美しい星空を見たときは『銀河鉄道の夜』の話を思いなさい。
本当の幸いってものが理解できるぞ」
「へえ、松本零士の、」

「それは『銀河鉄道999』だ。こちらは宮沢賢治の童話で、なかなか深い話だぞ。
主人公はジョバンニという母親思いの少年で、他に同級生のカムパネルラという
親友と、いつもジョバンニをからかっている、いじめっ子のザネリもいる」
「えーと、主人公はジョバンニで、親友がカムパネルラですね」

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  『銀河鉄道の夜』 宮澤賢治(著)佐藤国男(イラスト)福武書店

 右の頬を打たれて、左頬を向けたら、また打たれた場合は? 


あのイエスは言行不一致であった、と思う人がいるかもしれない。
というのは、イエスは「人もし汝の右のほおを打たば、左をも向けよ」と言ったが、
この言葉通りにしたことは無いからだ。(マタイ5:39文語訳)

イエスは最後の晩、大祭司の前で、下役から頬を平手打ちされたことがあるが、
こう言って下役を咎めた。

「もし私が何か悪いことを言ったのなら、その悪い理由を言いなさい。しかし、
正しいことを言ったのなら、なぜ私を打つのか」。
(ヨハネ18:23口語訳)

イエスは、もう片方の頬を差し出したりせず、むしろ抗議をした。

なので「左頬をも向けよ」は、文字通りに解釈したらいけないようだが、
そうなら、一体どういう意味なのか?



 人間は笑う動物であるのはなぜか。 


古代、大陸に渡った日本人は、倭の国から来たゆえに倭来わらいの民と呼ばれた。
列島に住む大和民族は、和と礼を大切にしているゆえに和礼わらいの民と呼ばれた。

その「わらい」の伝統は後の時代に継承され、ことわざが二つ生成された。
すなわち、
笑う世間に鬼は無し」
笑う顔には福来たる」

あはは…くだらない、と苦笑した方は『擬音語・擬態語  オノマトペ ※1』を発したのです。 
真面目な方のために念のために言えば、「わらいの民」の話は冗談ですからね。


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     「にこやか」の例:蕗谷虹児「マロニエの花』大正10年 ※2


というわけで、笑いのオノマトペを『雨ニモマケズ』の詩に織り込みました。
オノマトペは単純でありながら、多様で微妙な含蓄をうまく表せる言葉です。


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