「バーソは自由に」

考え方はいろいろあるから面白い

 大判小判が出てくる時の擬音語《ザクザク》についての私的解釈。 



  1.うらのはたけで ぽちがなく
    しょうじきじいさん ほったれば
    大ばん こばんが ザクザク ザクザク

    ――――『はなさかじじい』作詞:石原和三郎、作曲:田村虎蔵

  
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畑を掘ったら大判小判がザクザクと出てきた『花咲爺さん』。なぜ擬音語は《ザクザク》なんでしょう。この語感に、ちょっと違和感を感じたことはないですか。

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クマ「ご隠居。大判小判って薄い金の板ですよね。なんでチャリンチャリンとかの澄んだ金属音じゃなく、ザクザクって濁った音が出るんですかね」
隠「うむ、熊さん、その擬音語はあたしもしっくり来ない。ちょっと状況証拠を調べて推理してみようかね」
クマ「待ってました。よっ、シャーロック・ステイホームズ名探偵」
隠「うむ、シャイロックと言われないだけマシかな。で、お前さんは、ザクザクはどんな時の音だと思う?」
クマ「そうですね。キャベツをザクザク切るとか」
隠「そうだな、大辞林第三版を見ると、三番目の注釈は《切り方・織り方などの粗いさま》と書いてある。《粗いさま》とは、大判小判がバラバラ埋まっていたことを示唆している。そして二番目の注釈には《宝石・金貨などが多くあるさま》とある。こちらは《多くある》という意味だ。ということは、大判小判が、バラバラに多くある状態をザクザクと言うのかもしれん」 
クマ「ご隠居。しかしですよ、バラバラにあることや、多くあることをなぜザクザクと言うかが説明されてねえです」
隠「うむ、いい指摘だ。そこで一番目の注釈には《雪、霜柱、小石などを踏んで歩く音を表す語》とある。熊さんや、この童謡の季節はいつ頃かな?」
クマ「桜の花が咲く春じゃねえですか?」
隠「そうだ。したがって必然的に冬の《雪、霜柱》は除外され、《小石》が残る。つまりザクザクとは、畑を掘る時に、鍬(くわ)が土の中の小石に当たった音という可能性が高い
クマ「うーん、でも、ご隠居、鍬を土の中に入れる音なら、普通、グサッじゃねえですか」


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隠「うむ、グサッは、鍬を硬い地面に勢いよく深く突き刺した時の音だろう。そのグサッグサッがひっくり返ってザクッザクッになった可能性は捨てきれない。そうなら、元は濁音がなくてサクッサクッだった可能性もある。そう考えると、北海道のパウダースノーなど、サラサラした粉雪の上を歩くことを『サクサク歩く』と言う。ということは、粒が小さい粉末状のものを、軽やかに踏んだり押した時の音をサクサクと言うのだろう」
クマ「そうか、サクサクは粒が小さい粉末を踏む音なんだ」
隠「ここまで推論してきたら、この問題を解くカギが見えた。この『花咲爺さん』の話では『枯れ木に花を咲かせましょう』と言っている。では、ワトソン熊君、そのセリフから、裏の畑がどんな土地かを推理できるか?」
クマ「う~ん、分かりません」
隠「いいかい、この話は、お爺さんが灰を撒いた。そうしたら桜の花が満開となって大名からご褒美をいただいた。つまり、裏の畑は灰の成分が多い土地なのだよ。ということは、灰だらけの粉っぽい土地を、お爺さんが軽い力でサクサクと小気味よく鍬で掘った可能性が非常に高い。そしてサクサクが、後に濁音が付いて、ボリューム感のあるザクザクに変化したのだろう」
クマ「そうか、あの畑はけっこう灰だらけ」
隠「ポチ灰だらけだ」
クマ「すると、ザクザクは、《小気味よくサクサク掘った》という擬音語で、《沢山掘った》という擬音語じゃねえんですね」
隠「おっ、《沢山》か。なるほど、そうだな、《沢》とは《物が豊かにあること、潤い》という意味だ。豊かにあるなら最低二回は繰り返してタクタクと言いたくなり、それが濁ってダクダクとなった可能性もあるな。『血液が動脈からダクダク流れ出た』と言うと、それは血液が沢山出たということだ」

     ob74.jpg Pixabay


クマ「ご隠居、ダクダクザクザクとでは、字が一文字違ってませんか?」
隠「あたしと熊さんの仲だ。そのぐらい負けときなさい。《ザ》と《ダ》は親戚だという《つもり》になれば、気にならない。歯がない昔の爺さんならザクザクダクダクの発音の区別はできんだろ」
クマ「うーん、今一つ腑に落ちねえ。解釈がコロコロ変わって、なんか怪しい。が、まあ、ご隠居。日頃のうんちく指南のお礼に、お持ち帰りで買ってきた吉野家の牛丼を出そうかな。ちょうど昼時だし」
隠「おや、そうかい、うれしいね。遠慮なく御馳になろうかね。ちょいと、婆さんや、お茶を入れておくれ」
クマ「では、俺もお負けしますよ。玉ねぎ多めの『ねぎだく』にしたつもり、つゆ多めの『つゆだく』にしたつもり、肉が多めの『肉だく』の牛丼を、ご隠居の前に出したつもり
隠「う~ん、唯々諾々いいだくだくと食べたつもり



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※ 唯々諾々=何事にも「はいはい」と従うさま。他人の言いなりになるさま。
※ というわけで『ザクザク」の由来や正確な注釈をご存じの方は、ご教示いただければ幸いです。
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 蛇足とは《余分な付け足し》の意ではなく、重要な意味がある。 


太古の昔、5本の指がある4本足のヘビが歩き回っていた。

 五本指の手足を持つヘビの化石がブラジルの1億1000万年前(白亜紀)の地層から発見されたことが『Science』誌 2015年7月24日号に発表された。
 全長約20センチの若い個体で、前脚は長さ1センチほどだが、脚以外の特徴は明らかにヘビであることを示しており、「テトラポドフィス・アンプレクトゥス(4本の足を持つヘビ)」と名付けられた。
 短い脚は移動に使っていたとは考えられず、獲物や交尾相手をつかむ役目を果たしていた可能性があるという。

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  Dave Martill, University of Portsmouth 出典「natureダイジェスト


クマ「ご隠居、ヘビに足があってもトカゲじゃなく、ヘビなんですか」
隠「熊さん。この化石は尖った歯や鱗や筒形の尾など、ヘビの特徴をしっかり持っているそうだ。だから、この4足ヘビは、ヘビとトカゲをつなぐ中間種だと言う学者もいる」
クマ「やっぱり、ヘビの足は《退化》して無くなったんだ」
隠「うむ、昔はヘビに足があったという話は面白いな。ちなみに熊さんは、蛇の足と書く《蛇足》の意味は知っているな?」
クマ「その程度は知ってます。《蛇足とは余計なものを付け加えること》で、ご隠居の無駄話みてえなものです」
隠「無駄話で悪かったな。が、その蛇足話をちょっとしよう。《蛇足》の出典は前漢の『戦国策』の書にある。『戦国時代』という語はこの書に由来する。 時は支那の春秋戦国時代。蛇の絵を早く描いた者が酒を飲めるという競争をしたとき、一番早く描き終えた者が、『俺はまだ足を描く余裕もある』と自慢して蛇に足を付け足したら、『蛇に足は無い』とクレームが入って競争に負けた喩え話から来ている。だから《蛇の足》は余計なものなので《無くてもいい》というより、むしろ《無いほうがいい》とも解釈できる
クマ「なるほど、ちなみに、ご隠居の無駄話は、有ったほうがチョーいいです」
隠「有りが超。じつはこの話は、《楚》の国の将軍・昭陽が《魏》の国を破って、その勢いで隣りの《斉》の国に軍を向けたとき、《斉》の君主が困って、知恵者を将軍の下に遣わした。その知恵者は将軍に言った。『あなた様は隣国《魏》を撃ち破り、我が国《斉》を恐れさせ、十分に大勝利を得ています。すでにお国では最高位の地位は間違いなく、これ以上勝っても今以上の地位は無いでしょう。それどころか、万一負けるようなことがあれば失脚となるかもしれません。そうなれば蛇の絵に足を描き足した男と同じになりませんか』と言ったら、昭陽将軍は、もっともだと納得して兵を引いたという話が元になっている」

 ツイッターは、悪口や不満をつぶやくためにあるのか。 


 一人の大統領がツイートすると、世界の政治家があたふたと動揺する。
 一人の中学生がツイートすると、同級生がひっそり死に追い込まれる。
 ツイッターの「つぶやき」は、いまや銃弾より強力な口撃兵器にもなっている。

 ツイッター(Twitter)の名はtweetツイート(つぶやき)から来ていて、個人の小さな声を世界中に発信できるので、いまや3億3,000万人のユーザーがいるそうだ。


 しかしツイートを「つぶやき」と言われると、私は文句をつぶやきたくなる。

 なぜなら、「つぶやき」とは小声で独りごとを言うという意味だが、「ツイート」はひとに聞こえるように(大声で)語ることなので、違和感を感じるのだ。

 それに聖書では「つぶやき」は、小声でひとの悪口を言ったり、不平不満を言うという意味で使われているのに馴染んでいるために、そんな嫌味な話を語ることがツイートなのかいと、つい心の中でつぶやいてしまうからだ。


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 「雄弁は銀、沈黙は金」という格言は間違っている。 


 人間は“不安”する生き物です。
 新型コロナウイルスについて、情報や憶測や陰謀論が飛び交っています。

 発病者が集中している武漢市は人口約一千万の大都市ですが、市に入る道路は検問ではなく、土砂を盛り上げて封鎖しているとか、その市には致命的なレベル4のウイルスを扱う「中国科学院武漢病毒研究所」があり、生物化学兵器の実験動物が海鮮市場に転売されたとか、ウイルスが漏れたとか、国際金融機関の陰謀だとか、トランプ大統領に対する上院の弾劾裁判が始まった・・・といった話がタブロイド紙やネットで論じられ、巷で噂され、ツイートで拡散されています。

 
 
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クマ「こんち~、ご隠居。まだ生きてますね」
隠「おや、熊さんか。えらい大きいマスクをして来たな。でも、まあ、予防策だけは講じておいたほうがいい」
クマ「ネットにはいろんな情報が入り混じってて、どれを信用したらいいのか分からねえ。なんで政府の情報は少ないんですかね」
隠「なにしろ相手は中国だ。正確な情報がほとんど入ってこないためと、東京五輪をひかえているので、あまり騒ぎ立てないほうがいいと考えられているのかもな。西洋でも『雄弁は銀で、沈黙は金』という格言があるしな」
クマ「ご隠居、『沈黙は金』って、雄弁より沈黙のほうがいいってことですか。黙っているほうがいいなんて変だ」
隠「イギリスの歴史家トーマス・カーライルが1831年に『衣装哲学』という本の中で《雄弁は大事だが、黙るべきときは沈黙したほうがいい》という意味で書いたというのだがな」
クマ「へえ、『もの言えばくちびる寒し』。いま俺はマスクしてるので、くちびる暖かし、ふところ寒しです」

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