「バーソは自由に」

 考え方はいろいろあるから面白い。

 八歳の童と孔子の問答。『宇治拾遺物語』より 

映画のワンシーンのように、金正男 キム・ジョンナム が派手な女に国際空港で毒殺された。
事件は北の工作説の他に、韓国の陰謀説、金正男の替え玉説(※1)もあるようだ。
真相はまだ分かってないが、防犯カメラの映像で犯行自体は秒単位で分かる。

どこもかしこも情報氾濫の現代。
多くの人は、自分の《目で見た情報》で物事を判断している。
だが《目で見た情報》は、大抵はマスコミやネットで知り得たものに過ぎない。

そうした情報は偏った視点で見ていたり、不確かであったり、虚偽であったり、
「群盲象を評す」の寓話のように、一面のみが真実という場合もある。

aelef.jpgフリー画像(pixabay)

どうすれば適切な判断ができるだろうか。
中世日本の『宇治拾遺物語』に、孔子が子供の目の賢さを褒めた話がある。

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 日本人は、様々な「気」を気にしている国民だ。 


ある日本人が外国の会社で「いいお天気で…」「お元気ですか」「気を付けて」
と、よく声を掛けていたら、健康上の問題を抱えているのかと心配されたそうだ。

日本人はよく天分のことを話題にするが、それは遣いがあるからだろう。

の字は、意識や心の動き、気分、気体、雰囲気など、非常に多義に使われる。
の字の付く熟語や慣用句は、なんと360以上もある。
日本人はに関して特別繊細な感覚と気風があるのかもしれない。

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というわけでが多い詩と逸話です。気兼ねなく気休めにお読みください。
(笑)

 ユダのイエスを裏切る気持ち。太宰治の『駈込み訴え』。 


 Hey Jude, don't make it bad (ヘイ ジュード 悪く考えるなよ)
  Take a sad song and make it better (悲しい歌でも ましにしろよ)


これは『ヘイ・ジュード』(Hey Jude)の歌い出し。ビートルズの名曲の一つだ。

ポール・マッカートニーが、ジョン・レノンの長男5歳のために作詞・作曲。
(長男は愛称がジュールだが、普遍性を持たせるためにジュードとした)
ジュードは、あのイスカリオテの“ユダ”を思い出させる英語名でもある。

ジョン・レノンは、36年前の1980年、ファンだった男に射殺された。
(男の名はMark David Chapmanで、チャップマンとは古英語では商人の意)
イエスも、自分のファンであったはずの十二使徒の一人から裏切られ、殺された。

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ポール・ギュスターヴ・ドレ『ユダの接吻』。これが合図となり、イエスが捕まえられる。

ユダがなぜ裏切ったかにについては、昔からいろいろな解釈がされている。
(1)貪欲で、密告代が目当てだった。(2)大きな目で見れば神の目的の中にあった。
(3)サタンがユダの心に入った。(4)イエスを救い主だと信じる気持ちが弱かった。
(5)イエスがローマ政府に対して革命を起こさないので幻滅して見放した… 等々。

太宰治がユダの告白を兼ねた訴えというスタイルで、裏切りの動機を書いている。
妻の美知子が太宰の口述を筆記した短編小説『駈込み訴え』。
現場での生録音のようにして、ユダの心の動きと揺れを表そうとしているようだ。


 東大エリートが書いた、最後は「よって件のごとし」の遺書。 


 映画館や喫茶店にいたというのは、
  アリバイのない者が最も安易に使う常套句だった。
          ――――森村誠一『新幹線殺人事件』


世の中には、判で押したような定番の言い回しがある。

今、犯罪者が逮捕されて自白すると、ニュースで言われる常套句は、
「調べに対して『間違いありません』と供述しています」だ。

昔、証文や書状などの終わりに書かれていた定型句は、
「よって件(くだん)のごとし」であった。

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フリー画像サイト『pixabay』から借用

昭和23年、カリスマ東大生が詐欺事件を起こして書いた遺書の最後に、
この「件のごとし」が使われているが、この遺書が非常に類型を破っている。


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